|
丹波の森ウッドクラフト展は、人の心の優しさや温かさが失われがちな現代生活の中で、思わずほほえみ合ったり、空想世界に誘われてわくわくしてしまうような木の文化の創造をめざしています。さらにジュニアの部では、造形の美しさや個性的なテーマ性などを大切にするだけでなく、その作品と制作を通して家族や仲間がファンタジーを共有し、会話を楽しむ生活意識の反映を重視しています。
それは今年の作者のコメントにも「思い出の校歌」、「私の友だちをモデルにした人形」、「親子の会話やお互いのことを考える時間」、「祖父にあげるつもりで祖父の歳の79をつけた汽車」、「洗面台の鏡に顔が届かない弟や妹のための小さな踏み台」などの言葉に端的に表れています。この生活感情を包み込んだユーモラスでファンタジックな造形が、私たちの気持ちを和ませてくれます。
けれども量産品に囲まれた現実の多くの子どもたちは、木の文化と触れ合うことも創りだすこともいっそう難しくなり、心ある教師や指導者の苦労も深まりました。
山梨県のある中学教師は教材費不足を校長の計らいで地域林業家の支援を受け、地元産材による工作を実現したとコメントしています。不便な交通事情から下校が早い山村で、しかもその学年の美術授業は体育のあとの1時間で計10時間の工作授業計画。それでもキット教材などに頼らずにさまざまな障害を克服しての作品応募でした。本物のウッドクラフトにチャレンジさせたいという教育観と情熱に頭が下がります。
ジュニアの部審査委員長 寺内 定夫
(玩具デザイナー) |