ジュニア部門に出品された四百数十点の作品群を見ていると、まるでそこにはページを開いた絵本や詩集が並んでいるように思えます。時空を越えたファンタジーや自然を見つめた美意識が審査会場を包み込み、木を愛おしむ感性が響きあっているようでした。
現代の子どもの生活と表現活動には、アニメーションやゲームなど映像文化の影響が色濃く反映されがちですが、出品作晶のモチーフには昆虫、鳥、ウサギ、花、森など自然の美しさや感触に誘われたイメージが多いのです。木に内在するおおらかな生命の息吹きが子どもの誌情を輝かせるのでしょうか。
子どもは木工作が大好きです。小学校時代に絵を描くのが苦手になっても、木工作なら疲れをいとわない意欲を発揮することが少なくありません。生活道具や装飾造形を作る木工作のプロセスが、自己表現の充実、刃物や加工技術の学習、地域固有の伝承文化との出会いなど、物と人を通して触れる発見や感動のスケールが大きく深いからだと思われます。
ところが生活の情報化や機械化が急速にすすんで日常の手仕事経験が減った上に、学校五日制のもとでは美術教育としての木工作が難しくなりました。本格的な木工作は時間がかかり過ぎるからです。材料の人手も悩みのタネですし、それに木に親しむ生活環境さえ失われている現状です。
その難しさを克服して出品参加されることは並々の努力ではできないことです。子どもたちの作品は奔放なアイディアで表現を楽しんでいるもの、生活道具をユーモラスな感覚で彩ろうとしたもの、高度な加工の魅力にチャレンジしたものなどさまざまですが、教育者の優れた指導と家族のよき協力のたまものと思われました。
けれども工作で学ぶ文化や地球環境理解などの深さや広がりは、多くの教育識者が指摘するところです。総合的な学習、地域社会との交流などの試みにも見られるように、図工美術の枠を越えた子どもの生活文化体験として、感性的創造的なチャンスが今後もふえることを願っています。