コンクールの審査というとピーンと張りつめた緊張感があるものですが、しばらくするとふくよかな薫りと優しげな風に包みこまれた気分になります。それが丹波の森ウッドクラフト展の魅力です。おそらくすべての出品作者が長い制作時間の間、木のぬくもりに手の優しさを絶え間なく降り注いできたからではないかと思われます。
いま子育てで「揺さぶられっ子症候群」が問題視されています。生まれて間もない乳児を強く揺さぶり過ぎるので、重い障害が残ったり死亡したりする例がアメリカで数多く起きたからです。確かに現代人は言葉やしぐさが粗野で荒々しくなってきました。高度な情報化社会が人々の向き合う生活を激減させたことから、相手に対する思いやりや穏やかな振る舞いが奪われてしまったということでしょうか。虐待や暴力事件などが頻発することにもつながる社会風潮とも考えられます。
ところが丹波の森に集まるクラフトは、流れに逆らう自然派の人間主義を貫いています。作者はそれぞれ自作の世界を構築するのが喜びでしょうが、一堂に集まって仲間になると、まぎれもなくIT社会に対する壮大な創造エネルギーになっています。みなさん今後ともぬくもりと優しさの文化を世に送り出してください。