メイン林産指導課の紹介情報誌 「林産だより」 平成19年度 >第99号(P1) 健全な森林を育てる 力強い林業・木材産業を目指して

第99号(P1) 健全な森林を育てる 力強い林業・木材産業を目指して

Vol.99 ('07 5月発行)

平成18年度森林・林業白書から

このほど林野庁は「森林・林業白書」を公表した。同白書では、緑の社会資本である森林が、その多面的な機能を高度に発揮できるよう、充実しつつある資源を活かし、多様で健全な森林づくりを進めることの必要性や、広く国民が森林づくりに関わること、国産材利用を推進することの重要性を記述している。

林業・木材産業の構造改革の方向として、品質・性能の確かな製品を効率的に安定供給していくための生産・加工・流通体制の整備、バイオマス利用の推進による木材の総合的な利用が必要としている。

また、京都議定書の第1約束期間の開始が目前に迫る中、温室効果ガスの6%削減約束のうち、3.8%に当たる1300万炭素トンを森林による吸収量で確保することを目標としており、追加的な森林整備など「森林吸収源対策」の加速化が必要であるとしている。

回復傾向にある国産材供給量

木材需要に対する国産材供給量は、平成14年の1608万m3を底に増加傾向に転じ、平成17年には1718万m3まで回復し、自給率は7年ぶりに20%台となった。

主に建築用材が増加したが、特に合板用材の割合が高く、増加量全体の約半分を占めた。これは、加工技術の向上により、間伐材等の小径木が効率的に利用可能となったことの他に外材輸入価格の上昇が原因としてあげられる。

外材輸入価格は、世界全体の木材需要が増加傾向にあることや、原油高・ユーロ高等が起因して上昇しており、結果、国産材が競争力を持ち始め、これまで外材を中心に扱ってきた製材、集成材、合板工場において国産材の利用を拡大する動きがある。

品質・性能へのニーズ

住宅の耐震性や製品の品質・性能に対する消費者ニーズが高まっていることから、強度性能が明確で、寸法安定性に優れ、安定供給可能な製品として集成材がシェアを拡大している。集成材は平成10年以降、住宅着工戸数に大きな変化がない中、その供給量を2倍以上に増加させているが、原料となる国産材の自給率は8%にとどまっている。

このような中、スギやカラマツの曲がり材・短尺材等を集成材に利用する動きがある。スギの代表的な取組みとして、梁等の横架材への利用を目的とした、ベイマツとの異樹種集成材があげられる。集成材の生産は大規模施設を安定的に稼動させる必要があり、原料となる国産材を安定供給するために、小規模・分散的な供給体制を改善する必要がある。

零細な原木の供給体制

保有山林規模2ha未満の経営体が全体の83%、素材生産量5千m3未満の経営体が全体の76%を占める等、原木供給体制は小規模・零細な状況。これが効率的な路網整備、高性能林業機械の導入を困難にし、素材生産コストを割高にし、原木の流通・加工段階における、安定供給を困難にしていると分析している。

力強い林業・木材産業

・原木の安定供給対策

原木を安定供給するには、森林組合や素材生産業者が中心となり、施業の集約化、原木の量的な確保と計画的な供給を進める必要がある。

・製材・加工体制の整備

品質・性能の確かな製品を安定供給するため、製材・加工体制の大規模化や、乾燥材、集成材等の加工技術の向上が必要である。
中規模工場においては、複数の工場間で連携し、スケールメリットを活かすことで低コスト化や販路の拡大を図る必要がある。

・顔の見える木材での家づくり

持ち家を中心に無垢材、産地、樹種へのこだわりを追求するユーザーのニーズに応えるため、森林所有者、木材産業関係者、住宅生産者など地域の関係者が一体となって消費者が納得する家づくりを行うための取組みが必要である。